なぜフランスでは子どもが増えるのか

講談社現代新書の新刊、「なぜフランスでは子どもが増えるのか」を読みました。
内容紹介 恋・仕事・子どもに向き合う生き方 女が幸せな国は子どもが産まれるのか?子どもが増える先進国フランス、そこにはやはり歴史的・文化的な背景があった。自らもパリで出産・子育てをする著者がその秘密を探る。 目次 第1章 フランス人は「セックスレス知らず」か? 第2章 「恋愛大国」だから子どもが増える? 第3章 フランスにはなぜ専業主婦がいないのか? 第4章 婚外子が多いと子どもは増えるのか? 第5章 フランス人たちはなぜカップルになれるのか? 第6章 フランスは少子化対策に成功したのか? 終章 フランスから何が学べるのか http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=288052
章立てだけでもなかなか興味を惹かれます。 (ただ、帯のあおり文は中身を正確に反映していないと思います) 自分自身に振り返って考えてみると、この本に書かれている精神のようなものは、私の結婚生活に比較的組み込まれているもので、親近感を覚えました。 筆者の娘が2歳かそこらだったころ、両親が仲良くしているのに嫉妬して、 "C'est pas ta maman!(あんたのママじゃない)" と父親に抗議したら、 "Oui, mais c'est ma femme(だが、私の妻だ)" と答えたというエピソードがあります。 母子べったりの、すごく日本の核家族的な子育てをしている現状ではありますが、母である以上に妻である、というのは忘れないようにしていますので、是非夫にも同様の回答を期待したいところです(笑) また、女性がセクシーさを強調できる背景にピルの普及がある、というのは言われてみるとそうであろうと思います。結婚前後に服用していた時期がありますが、生理痛の緩和と妊娠に対する安心感、という点でかなり利点はありました。今後も必要があれば服用を検討すると思います。 フランスが現状に至るまでの歴史的経緯、教育にお金がかからないのに教育格差が開いている現実、など、興味深いところはいくつもありましたが、ここはもう少し詳しく読みたいと感じたのは、 「PACS(民事連帯契約)」 の部分でした。 PACSとは、「性別に関係なく,成年に達した二人の個人の間で、安定した持続的共同生活を営むために交わされる契約のこと(http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/taizai/pacs.html)」です。 内容自体は学生時代に民法の授業で習って知っており、どのように運用されていくのか気になっていたのですが、「流行っている」というほどに利用されているということは初めて知りました。 乱暴にまとめると「同棲以上、結婚未満」であるPACSですが、パッケージとしてこのような制度が存在することで、ごく普通の人でも結婚以外の選択肢を取れ、緩やかな形でカップルとしての生活に入っていける、というのは、子どもを持つためにプラスに働くのではないでしょうか。