風呂読書

神谷美恵子日記 (角川文庫)

神谷美恵子日記 (角川文庫)

心や身体が疲れたときは、この本を開いて目についたページを読んでみる。

凡庸なる民衆を作り出す物質的にゆたかな平和な社会と、少数の優れた人を出す軋轢の多い社会とどちらがいいかと言われたら私のSollen〔あるべきこと〕の念は前者を選び、私の野性は後者をえらぶだろう。私は出たらめの貴族主義者らしい。

(P.8)

彼女の夫への言葉が胸に沁みすぎる。

もし私にも家庭以外に何か使命があるならきっといつか神様は道を拓いて下さるだろう。この点に関するN(引用者注:夫・神谷宣郎)の理解と誠意に対しても私は全幅的な信頼と希望をつないでいる。

(P.93)

私は神は信じないけれど、後半部には激しく首肯する。

だからこそ進めるのだ、先が見えない思索へも。