続・作成者不利の解釈準則

前回のエントリに対し、TwitterGoogle+というオンラインからだけでなく、個人的にもご連絡いただいてご教示いただけたりと、本当に様々な方にご示唆や資料のご提供をいただきました。 この場を借りてさらに御礼申し上げます。 その上で、じゃあ表題の件について「分かった」と言えるかというと、「そうは簡単に分からないことが分かった」という状況なのですが、いったんまとめてみたいと思います。
  • 契約法41条に現れる「不利解釈」は、保険法30条、ひいては消費者権益保護法24条等にも見られる思想である
  • 中国では契約法起草時、英米独仏、日本、台湾等の比較法を取り入れており、契約法41条についても、ローマ法起源とする論文等もあるらしい
  • 実際に41条を適用する事例はかなり多く、免責条項の有効性等が争われているとのこと
  そして、契約法以外にも約款に関する定めは、
  1. 契約法第39条ないし第41条
  2. 契約法の適用の若干問題に関する解釈(二)第6条
  3. 売買契約紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈第32条
が存在し、3については現状、邦訳を得られておりません。(契約法の英訳についてはhttp://www.novexcn.com/contract_law_99.html ) ただ、実際、中国において約款を用いた契約を行う際に、どのレベルで免責を定めておくか、という判断に実際の判例を勘案したいところはあり、そこはもう、必要性に合わせて現地専門家に聞きつつ、自らも調査できるようになっていきたいです。   周知の通り、中国においては、法律に書いてあればその通り適用される、という度合いが比較的薄い、ということではあります。 その認識はこれまでもありつつ、法律に何が書いてあって実際はどのように運用されているのか、そこにどのような背景や国情があるのか、ということについて学ばずに取り組みたくない、と今回の件で強く感じました。   [amazonjs asin="4792332990" locale="JP" title="現代中国法 (プライマリ法学双書)"] [amazonjs asin="4641048096" locale="JP" title="現代中国法入門 第6版 (外国法入門双書)"]   の2冊を購入し、ひもといているところです。 このエントリに記載しきれなかった興味関心もいくつもあって、今回この規定を知ったことで、中国法を学ぶよすがと、そのモチベーションを形成できたと感じています。引き続き類似の学びがあれば書いていきたいと思っております。