あけましておめでとうございます!
遅いですね。しかし私のブログ的な意味での新年は、修士論文を書き上げない限り訪れなかったのです。
本日、やっと提出を終えましたので
あたい、この論文を書き上げたら、
— Chihiro (@coquelicotlog) 2018年1月6日
「4ヶ月児を育てながら1ヶ月で3万6000字を書き上げるためのノウハウ」
についてまとめるんだ…(死亡フラグ…というかニーズあるんか)
で宣言していた内容をまとめてみようかと思います。
前提(何について書いていないか)
因みにあらかじめ申し上げると、「修士論文の内容」についてはいくらでも先人が書いていらっしゃいますし、内容について述べるだけの力はございません。今の自分にできる範囲で、子持ち社会人であることを言い訳にしないように粘りはしましたし、そういう苦闘の記録にも価値はあると思いますが、このエントリーの範疇ではございません。
内容について色々いい本はいっぱいありますが、社会科学系なら、

社会科学系のための「優秀論文」作成術―プロの学術論文から卒論まで
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をまず読むと良いのではないでしょうか。
エントリの構成
このエントリは、2つの観点で構成されます。
- いつ書くか(タイムマネジメント)
- どうやって書くか(ツール)
さらに付言すると、修士論文の執筆は、これまでの私の仕事人生において追求してきた効率化の集大成といえるものであり、かつこれから始まる2人育児+職場復帰という慌ただしい日々の準備期間でもありました。
限られた時間の中でいかにいいものを作れるか、追求している方の多少なりとも参考になれば、心から嬉しく思います。
いつ書くか(タイムマネジメント)
乳児を育てたことがある方だと多少想像がつくかもしれませんが、我が家のこの1ヵ月ほどの生活リズムはこのようになっています。
- 7:00~7:20 家族全員起床(私は激しく朝に弱いです)
- 7:20~7:40 私は朝食の準備、夫が次女のおむつ替え→みんなで朝食、次女は一人遊び
- 7:40~8:10 長女を小学校に送り出し(近いので出るのが遅い…)
- 8:10~9:00 次女に授乳
- 9:00~10時半くらい 次女が抱っこで寝るのでベッドとしての崇高な使命を果たす
- 10時半~ 次女が起きるので洗濯物を干す。機嫌が良ければ置いて、ダメならおんぶで干す。掃除をする(生活の中での家事の優先順位は下げている)
- 11時~12時半の間 全ての行為は次女の機嫌に依存する。これはいける!と思ったタイミングでお昼ご飯を食べる
- 午後(前半) まずは次女を昼寝させる。前日の夜勤*1が多ければ一緒に寝る
- 午後(後半) 外気浴が必要((c)松田道雄先生)なので、買い物がてら出かける
- 夕方 黄昏泣きと戦いながら夕飯を作る。学童まで長女を迎えに行く
- 夜 帰宅して、不機嫌をごまかしながら夕飯を食べ、長女に協力してもらいつつ次女をお風呂に入れる。風呂上がりはミルクにしているので、ミルクを飲ませる。飲ませながら長女のピアノの練習を聞く。練習に指示を出した上で、寝室に次女を寝かせにいく
- その後 ハイパー母ちゃんタイム!!
- 深夜 夫が仕事から帰ってくるので、夕飯を出しつつノンアルコールビールで一緒に晩酌する
- 1時ごろ ちょうど次女の夜間授乳タイミングなので授乳して就寝
- 4時ごろ 授乳
ということで、夜のハイパー母ちゃんタイムだけでは勿論書けないわけです。
修士論文ですので、引用文献も読むし、今回ネットワーク分析をやったのでPCでコードを打って分析結果を出して、かつ可視化もやったのでその試行錯誤も必要だったのです。
こんな環境下で私がやった事は、「ながら作業でできることを切り分ける」です。
授乳したり子供が遊んでいるのを見守っていたりしても、スマホでフリック入力するぐらいはできます。機嫌よく遊んでくれているときであれば、音声入力で大量に入力することもできます。
一方、分析はどうしてもパソコンでやるしかないという現実があります。当初は子供が寝た後の時間にやっていたのですが、後半になるとやはりどうしても時間が足りなくなり、プレイマットの位置を工夫してリビングに執筆コーナーを作りました。
このように、ながら執筆を加えると、
- 次女の朝寝
- 次女の昼の遊び時間
- 黄昏泣き対応
- 寝かしつけ
がほうら不思議!執筆時間に充てられますね!(ちょっと自棄気味であることは否定しない)
無論、子どもが構って欲しそうなときは構うし、積極的にあやすのですが、特に乳児の育児においては
「寝てるのに、近くを離れると/抱っこから下ろすと起きて泣く」
というアイドルタイムが多いので、そこでなるべく書きます。一行でもいいから積み重ねます。多少変なところがあっても、推敲で直せばいいんです。
このように隙間時間に執筆するには下準備が必要です。
すなわち、論文の全体像があり、それが章立てとなり、章立てをさらに分割した上で、今の時間ならこの一部が書ける!という形でピースを作っていって、長めに作業時間が取れるときに組み立てる、という工程です。
だから、書くための時間が稀少であるからこそ骨格が大事です。
12月初旬の段階で焦ってイケテナイ章立てを作ってしまい、指導教官の先生から指摘をいただいたので、その段階で一度立ち止まって構造を練り直しました。その上で作業を「砕いて」、手をつけられるところからどんどんやっていき、空き時間の長さに合わせて書いていった、というのが流れです。
どうやって書くか(ツール)
上記のような作業をするには、PCとiPhoneの間で、データを可能な限りシームレスに同期できるツールが必要です。
役割ごとにツールを使い分ける必要があると私は考えており、
- 論文の構造をつくる
- 書く
- 編集する
という大きく分けて3つの分類で使い分けました。
論文の構造をつくる
後工程に響いてくるため大切な作業です。時間や余裕のある方なら、ホワイトボードに書いていったり、マインドマップ書いたり、色々できると思います。私も以前はそういう手段を使っていました。
しかし、乳児と共にある生活では、ほんの少しの隙間時間に思いついた発想を書き留め、それを生かして精度を上げていくしかありません。
この環境下で私がやったのは、iPhoneのHey Siriでメモを取り、それをWorkflowyに移し、入れ替えるといった、iPhoneで使えるアウトラインプロセッサの活用です。
文章を思いつくのは馬上・枕上・厠上とはよく言ったもので、私も、子どもの外気浴のためにベビーカーを押して歩いているときに結構いいことを思いつくことがありました。しかし歩きながらなのでなかなかフリック入力すらできません。こういうときに、
「Hey Siri! メモして! ●●…」
と言うと、SiriがiPhoneの標準のメモアプリでメモを取ってくれます。音声認識なので誤字等もあります。ただ何らかの形でメモが残っていれば、後で落ち着いた時に思い出して書き直すことができます。
あわせて、思いついたものが全体の構造の中のどこに位置づけられるかを考えながらアウトラインプロセッサで並び替えを行えば、構造もアップデートされます。
並び替えには
を使っていました。元々WorkFlowyユーザーなので、過去の蓄積も執筆に使えたことは利点でした。
メモからコピーして、並べ替えたり階層の深さを上下させたりして論文の構造を作り直しました。
書く
書くにあたっては標準のメモアプリを最初は使っていました。加えて、
も使いました。
最終的にはWordを使うことになったのですが、途中まではLaTeXに挑戦していたため、Markdownで書きたい…などなどの要件には合っていました。Dropboxから直接編集できるのもいいところ。次の執筆においては*2さらに活かせると思います。
今回はiPhoneの音声入力とフリック入力に助けられました。近頃の学生さんはフリック入力でレポートを書けるということで、我々の年代からすると驚きを持って捉えられているようにも思います。しかしやってみると、フリック入力での執筆は、全く無理ということはなかったです(苦しくはありました)。
私はもともと親指シフトを使っていて、タイプもそんなに遅くないと思いますが、フリックに関してはどうしてもパソコンの前にゆっくり座れない環境下において、音を出さずに片手で書き続けられるという事はとても有益でした。
編集する
論文の形にするためには、どうしてもPCでの作業が必要です。例えば図表の番号を入れたりアウトラインを整えたりということはPCでないとなかなかできません。
最終段階に至って、どうしても両手が開かないのにPCに入力したいということで、手段について悩んでいました。
そのタイミングではてなブックマークを見ていたら、
の記事にちょうど行き当たりまして、さらに、
にて
を知ったことで、最後の編集作業も隙間時間でできるようになりました。
ノートパソコンを置き、子どもを抱いていない方の手でリモートマウスを操り、クリックしたりフリック入力したりして、無論効率はあまりよくないですが、子どものお昼寝ベッドの役割を果たすタイムを論文編集作業に使えました。
少しでも前進している、というだけで気持ちに余裕が出ましたし、実際、しっかり時間を取らないとやりにくいことを子どもが寝た後の作業に回すことで、論文の質に意識を向ける時間を取ることができたと思います。
まとめ
割愛しましたが、スマホのゲームで息抜きするときはして、小2長女の勉強や習い事も見て*3…という感じだったので、執筆にかけられた時間はやはり多くはなかったと思います。
当方、各方面から「タフ」だと言われることも多く、運動神経はぶった切りされていますが基本的に健康で、睡眠時間も短くて大丈夫な方です。ですので、毎日の活動時間自体も結構長く、だから乳児育児との両立ができたという面はあります。
とはいえ、いろんなツールを駆使することと、集中力をうまく作って隙間時間に書くこと、そして何より、手戻りを減らすために全体設計からやること…などは、普段の仕事を少し楽にしてくれていると思います。人それぞれ、自分を楽にしてくれるツールはあると思います。私が使ったものの中の1つでも、どなたかに役立てばこれほど嬉しい事はありません。