前置き
このエントリーは、いわゆる退職エントリです。
4回目の転職の経緯
この4月末を持ってまた仕事を変えることになりました。博士課程への進学も併せ、とても変化の多い春です。
過去のエントリーを読み返していたら、既に、
今回の転職は、関西でも働き続ける、ということに重点を置いており、仕事の中身は、「頭を使いたい」「考え続けたい」というところ以外はあまりこだわりを出しませんでした。期待値としてはフラットでした。 結果として、「取りあえずやってみれば、知らなかった面白さも見つけられる」という発見を得ました。100%自分のやりたいことで、という働き方はなかなかできないと思いますし、実際、そりゃあ合わないところも複数あります。ただそれ以上に発見もあったり、以前より現場に近くなったので視座が変わったりと、私にとって必要な環境適応だったのかも、と思います(多少恣意的に、発想を前向きに持っていこうとしていることは否定しませんが)。
転職(出産後3回目)から2年、大学院入学から1年少し経っての雑感 - coquelicotlog
ということは書いていて、実は現職に就いたところから多少予期していたことではあります。ですので、転職先は比較的「やりたいこと」を見据えてじっくり決めました*1。
以前に書いた表現をそのまま使うと、
「取りあえずやってみれば、知らなかった面白さも見つけられる」という発見
だけでどこまでやれるのか(やり続けることはできなかったということですね)という点と、第2子がまだ幼児であり、それでも大学院で研究したいテーマも進みたい方向性も決まっている中で、今の仕事がそれなりに忙しくマインドシェアを取られてしまうために、
「この仕事に全部を注がなければならない、そうでなければ辞めなければならない」というような青臭い緊張感
転職(出産後3回目)から2年、大学院入学から1年少し経っての雑感 - coquelicotlog
が戻ってきてしまったというところはあったかなと思っています。続けられないならば、決断するしかないですので。
とはいえ、労働環境は悪くなかった(何よりも修士を取りつつ育休まで取ってます)し、同僚にも基本的には恵まれたと思っています。 一方、前述の通り、やりたいことをやっているという感情や成長している実感が乏しく*2、そもそも家庭との両立で心身ともに闘争せざるを得ないのに、この仕事で頑張りきるだけの覚悟というものが持てなかったというのも否めません。
ミスマッチをどう見切るか
現職に関しても真摯に取り組んだ面も多かったですし、お客さまにも恵まれて、喜んでいただく経験はできたと思っています。そして、世の人はそれだけで満足できるのだなということにも気づくことができました。 ただ、如何せん私は、他人に認められたからといってそれだけで満足することがどうしてもできない。考えたこと、書き上げた内容、思考の深さ、自身が到達できたところ、いずれを取っても評価できるのは自分でしかないし、自分が満足できるところまでやりきれなかったものに対しては価値を置けないと思っています。
現状では不本意な部分も含めて忙しく、自分自身でやりきったというところまで考えきる余裕が持てなかった、もしくは自分の志向と考えきる方向性が違う仕事であったからこそ、成長実感が薄いのだろうと自己分析しています。そうであるのならば、お互いの健全性のために離れる選択をするのもまた、お互いのためでしょう*3。
バスを乗り換えること
現職においては、普段なら読まないような本を何冊も読みました。 ビジョナリーカンパニー2がまた一つで、そこに誰をバスに乗せるかという章があります。
- 作者: ジム・コリンズ,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2001/12/18
- メディア: 単行本
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本書自体は経営の視点から「誰をバスに乗せるか」が会社の成長につながることを説きますが、乗る側(=労働者側)としてもやはり、乗るバスを間違えた否かは冷静に振り返らなければならないと思っています。 本書の表現を借りれば、私はおそらく乗るバスを間違えてしまったのだけれども、ただそのバスに乗らなければ広がらなかった世界や、繋がらなかったものがあるということもまた認識しています。 そこで知り合った人や、そこで繋がった人に対して誠実でいたいと思うし、私が力になれるのであれば、これからいくらでも提供していきたいと思います。
今のところどちらかというと複雑な思いもあるのだけれども、私がこの十数年で学んだことは「反省はしても後悔はしない」ということです。
私は学生生活の過ごし方についてかなり失敗した経験があって、就職もその影響で新卒の時は恐らくミスマッチを起こしてしまいました。 しかし、その生き方がなければ出会えなかった人間関係があり、何よりも築けなかった家族がある、そしてこのタイミングでなければいま私が産んだ子どもたち2人はいない。色々なことが容易には思い通りにならないからこそ、過去の判断や出してきた結論について反省すべき点は確実に反省した上で、しかしその決断から出た結果に対しては、自分で責任を取って次の行動をより良くするという形で動いていきたいと思います。 今回の転職もおそらくはミスマッチ起因だったのだけれども、得られた経験自体は活かしていくべきだし、やはりやってみなければミスマッチも明確にはならなかったのだろう、というところは認識しています。
仕事と家庭の両立という点で物理的に困難があるとはいえ、最終的に自己の成長を止めてしまったのであればそれは自分自身の営みの結果なので、そこに関しては自己に責任を引き寄せた上で、現職においても周囲がしてくれたことには感謝をして、大きく手を振ってバスを降りたいと思います。